nagomihonobono’s blog

2018年8月からモロッコで暮らし始めました。モロッコの生活、文化など発信したいと思います。

モロッコライフ(犠牲祭)

ロッコで暮らし始めて2週間が経ちました。

8月22日、23日にモロッコの犠牲祭、イード・アル=アドハー(Eid ul-Adha)を初体験!未だに、たくさんのお店が閉まっていて、皆里帰りしているようです。

 


8月22日
イスラム教の大切な祝祭の一つイード・アル=アドハー(Eid ul-Adha)の日。
ハッジ(メッカへの巡礼で、五行の1つ)※の最終日にあり、ヒジュラ歴の12月10日から4日間にわたって行われる。

前夜からから外で悲しげなうめき声が聞こえていました。
老齢の男性が酔っ払ってうめいていたのかと思っていたら、実は羊の鳴き声でした。
朝までずっと続き、そして9時半頃泣き止みました。
何が起こったのかと思えば、犠牲祭の生贄となったのです。
ロッコ中、家ごとに家畜(たいていは羊)の首を一気に切り、アラフの名を復唱し、神にささげられます。
羊が苦しまないように、一気に首を切った後は、血を抜き、内臓と毛皮を取り、足をロープでくくりしばらくつるしておきます。
伝統的には家の主の男性や親戚の男性が作業するようですが、私の知人のモロッコ人の家ではお肉屋さんが実施していました。
アパートに住んでいる人は、ベランダもしくは屋上で実施。また、羊の頭と足(蹄がついた部分)は外の薪で焼きます。

 f:id:nagomihonobono:20180826070829j:plainf:id:nagomihonobono:20180826070920j:plain



焼いた後は、墨をきれいに洗い流し、鍋で一日かけてじっくりと煮込み、翌日にはクスクスの具にして食べます。

f:id:nagomihonobono:20180826071919j:plain



一年で一回羊の頭のクスクスが食べられる特別な料理です。

生贄となった羊の3分の1は家族で、3分の1は近所に、3分の1は貧しい人々に分けます。イスラム社会の慈善。食べる順序も決まっており、まずはレバーと心臓から。その後、肩を食べます。

他の部位は、血が固まる翌日まで置いた方がよいようです。友人宅では、はつやホルモンなどの内臓は、圧力釜の中で塩と胡椒とで翌日用にじっくり煮込まれていました。

f:id:nagomihonobono:20180826071418j:plain


 

レバと心臓を家の外のアパートの廊下で炭火焼きし、一口サイズにカット。そして、皮で巻いて鉄串に刺した後再度しっかりと焼いて、食べました。

 f:id:nagomihonobono:20180826071020j:plain

 

余ったレバーオイル、玉ねぎ、にんにく、レッドペッパー、コリアンダで煮込んで昼ご飯にパンと一緒に食べます。右手でパンに肉料理を絡めるように食べるのが、モロッコ流の食べ方。

また、炭火焼きされた羊の頭から脳みそを取り出し、脳みそを塩茹でした後、オリーブオイルとスパイス少々と卵と混ぜ合わせ、フライパンで炒めて食べました。脳みそは赤ちゃんでも食べられるくらい、栄養価が高く体に良いようです。食事には、常に甘
~いモロッコミントティもふるまわれます。

f:id:nagomihonobono:20180826071250j:plain

 

伝統的には国王が羊を(2頭)ささげてから、国民がそれぞれの羊を処理し始めるようです。現在は、近所の羊処理屋さんが巡回する順番で、国王よりも早く処理されることもあるとのこと。日本のお盆のように、家族でお祝いし、親戚を訪ねたり挨拶したり
します。国中がお休み期間になるため、時には2週間ほどお店が閉店していることもあるようです。

※ハッジ
イスラーム世界におけるメッカへの巡礼を指す。ウムラ(小巡礼)を区別して、大巡礼と呼ばれる。
ウムラは、五行に含まれないが、ハッジは五行の1つ。

 

 

8月23日
本日は昨晩煮込み続けた羊の頭のクスクス料理を家族で分け合って食べました。
クスクスはクスクスのみで、調理します。クスクスの具となる、玉ねぎとひよこ豆は、別の圧力鍋で。また、玉ねぎとレーズンを別の鍋で調理。計3つの鍋が同時に調理されます。

 f:id:nagomihonobono:20180826071512j:plain

 

以下、友人宅の羊頭のクスクスの作り方↓
★【クスクス】
クスクスに塩とサンオイルを混ぜた後蒸気で蒸します。しばらくしたら、クスクスを大器に移し、コップ一杯の水と混ぜて冷まし
ます。そうすることで、クスクスが水を吸収し、膨張。そして、また蒸気で蒸す。
これを3・4回繰り返して1時間ほど完成。アツアツのクスクスに、発酵バターのスメン(Smen)※を混ぜ合わせて完成。スメンを
加えることで、味のおいしさが増すようです。


 

★【具材の玉ねぎとひよこ豆のセット】
刻んだ玉ねぎとひよこ豆を鍋に入れ、スパイスを入れます。塩、シナモン粉、ジンジャー粉、ミックスハーブの粉、ターメリック
サフランオイル。圧力鍋で1時間ほど調理。程よく調理されたら、昨晩中煮込み続けた羊の頭のお肉、舌などを入れて、
さらに煮込む。その時に、スメンを追加。

★【具材の玉ねぎとレーズンのセット】
上記のスパイスに加えて、砂糖を入れることで甘い味付けにする。

 f:id:nagomihonobono:20180826072113j:plain

 

3つの鍋がすべて出来上がったら、クスクスの上に具材を盛り付ける。そして完成!

 

 また、同時進行で、羊の内臓(昨日から1日かけて塩と胡椒で煮込み続けた)の煮込み料理づくり。調味料は、クミン粉、サンオイル・オリーブオイル・胡椒・レッドペッパー・辛いレッドペッパー・コリアンダーとオニオンをすり潰したもの。すべて鍋に入れたら、コトコトと鍋の中で煮込むだけ。

香りは、なぜかお祖母ちゃんの手料理を彷彿させる懐かしい香り。。。

f:id:nagomihonobono:20180826072231j:plain


クスクスが盛られた器が、日本の陶器のデザインに似ていました。孔雀(アラビア語でターウース)がモチーフの陶器。
ロッコで生産されている伝統的な食器のようです。

f:id:nagomihonobono:20180826072514j:plain


※スメンについて
スメンは、北アフリカや中東料理の重要な食材の一つ。スメンは、特に家族の富を示す、文化的にも大きな意味を持つ。
尊敬する人物が家に来た時には、高価な食器を使ったり、高いワインを開けたりするのと同様に、名誉の気持ちを表す印として用いられる。